My important place【D.Gray-man】
第17章 憩.
「いや違うな…神田によく頭叩かれてる所為で、とうとうまともな判断ができなくなったんだろ…!」
「酷ぇ話だ…!」
「おい待てコラ」
私の腕や肩を掴んでおいおいと嘆くファインダーの皆に、低い声でツッコミを入れたのは神田本人。
なんですかこれ。
全く状況が理解できないんだけど。
「私、頭おかしくなんてなってないけど」
「んなワケあるか! あの雪が神田と飯食おうだなんて…!」
「拾い食いか、やっぱ拾い食いしたのか!」
人を乞食みたいに言わないで下さい。
確かに落ちたものくらい洗って食べられるけど。
そこまで普段、意地汚くないから。
まぁ今までの私を知ってる皆からしたら、おかしな行動なのかもしれないけど。
ファインダーの中で、神田のことを嫌うというか苦手意識を持っている人は多い。
普段から冷たい物言いが多くて、サポートする私達のことを蔑むような発言もしてきた神田だから。
特にバズは、神田と一悶着あった仲だし。
任務でよく神田に頭を叩かれてる私も例外じゃなく、多少なりともその意識はあった。
だから一緒に食事とか、任務以外でしたことない。
「そうか…脅されてるんだな。無理矢理、飯に付き合わされてるのか」
「いや、あの」
「なんだよ、そうならそうと言え。プライベートまでエクソシストに尽くすことないんだぞ、雪」
「そういうんじゃなくて、」
「お前…っどこまでファインダーの鏡なんだよ…っ」
だから違うから!
涙流して同情やら感動やらしてるところ悪いけど、それ違うから!
大体何、無理矢理ご飯に付き合わせるって。
そんなエクソシストいないから!
「黙って聞いてりゃ、好き勝手言いやがって」
私を囲んで喚くファインダーの皆の動きを止めたのは、とてつもなくドスの効いた声だった。
「うぜぇんだよテメェら」
バキボキと、両手の拳を鳴らしながら席を立ち凄みを利かせる神田。
「ァあ?」
まるでその場だけ殺意が見えるかのような空気に、ひぃっ!と忽ち皆は私の背中に縮み隠れた。
…ちょっと。