My important place【D.Gray-man】
第17章 憩.
「あ。」
未だに不信感を抱いていたファインダーの皆には、とりあえず大丈夫とだけ伝えて解散させた。
一人、神田の向かいの席に座ってふと気付く。
「本当に好きなんだね」
思わずまじまじと見たそれは、神田の朝ご飯メニュー。
天ぷら蕎麦。
「…ぶふッ」
「なんで笑ったテメェ」
「いえ」
思い出し笑いしてしまっただけです。
睨んでくる顔に即効で首を横に振って、私も箸を持つ。
「…なんかこれ、あの時した話みたいだなって」
あの夜の病室で、神田とした晩餐の話。
他愛ない話に答えてくれたそれは、どうやら神田の本音だったみたい。
そう思うと、なんだか地味に嬉しくなった。
「そういえば昨日からお休み貰ってるけど。神田って普段、何して過ごしてる?」
リナリーの座禅の話を聞いた時、私は神田のことを何も知らないんだと思い知らされた。
だからなのか、純粋に興味が湧いて問いかけてみる。
「修練」
短い言葉で返ってきたのは、なんとも神田らしいものだった。
そういえば、座禅の間も修練場にあるもんね…。
「他には?」
「筋トレ」
「あとは?」
「素振り」
…うん。まさにトレーニング漬け。
ストイックだとは思ってたけど、ここまでストイックとは。
もう尊敬します。
「そういえば、任務前ギリギリまで組み手やってたりしたもんね…」
以前、任務前にそんな姿を見かけたことを思い出しながら、朝食のスープを口にする。
「別にいいだろ、俺の休みを俺がどう使おうが」
「まぁ、そうなんだけど」
じゃあ今日も変わらず、トレーニング漬けの一日を送るのかな。
「そういうお前はどうなんだよ」
「…私?」
不意に同じ問いを返されて、思わずスープを飲んでた手が止まる。
目の前の神田を見れば、目線は蕎麦に向いたまま。黙々と食べる姿は変わらない。
「えーっと…」
思い出してみる。
私の休日の過ごし方は──
「……」
…うん。
「…似たようなものかも」
神田程のトレーニング漬けじゃないけど。