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My important place【D.Gray-man】

第17章 憩.



「あ」


 教団の食堂での朝。

 いつものようにジェリーさんに頼んだ朝食を貰って、適当に席に着こうとした時。広い食堂の隅に、見知った背中を見つけて思わず足を止めた。

 私と同じで休日を貰ってるからか。見慣れた団服じゃなくチャイナ風の私服姿で、でも長い髪はいつものように一つにまとめられた後ろ姿。


「……」


 いつもなら見かけても、声なんて一切かけなかったけど。
 …なんとなく。
 自分のトレイに視線を落として暫く考えた後、その背中に足先は向いていた。


「おはよう」


 トレイを手に、横顔が見える距離まで近付いて声をかけてみる。
 ちらりと向いた顔は、いつもと同じく無表情。


「……」


 じっとこっちを見たかと思うと、私の視線を辿るようにその方角に視線を向けて──…待って待って。


「いや、神田に言ったから。おはよう」

「あ?」

「だから、おはよう」


 再度繰り返せば、今度は黒目がまじまじと私を見てくる。
 その表情は物珍しそうに。

 まぁね。
 こんなふうにプライベートで声をかけたことなんて、なかったから。


「…ああ」


 だけど神田から返ってきた言葉はそれだけ。
 相変わらず、素っ気無いというかなんというか。


「隣、いい?」

「…は?」

「だから、隣。私も此処で食べていいかな」


 気にせず空いた席を指差せば、またもまじまじと顔を見られる。
 一人を好む神田だから、許しを得られるかはわからなかったけど。


「なん──」

「待て雪!」

「お前ちょっとこっち来い!!」

「うわっ!?」


 だけど神田が何か言葉を発した途端、私の体は強い力で引っ張られた。
 ずるずると引っ張られて、あっという間に神田から引き離される。


「っバズ? 皆も…っ何急に──」

「何ってそれはオレらの台詞だ!」

「どうした雪、変なもん拾い食いでもしたか!?」


 見上げれば、私の腕や肩を掴んでいるのはファインダー仲間の皆で、何故かその顔は一同に真っ青。
 どうしたの。

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