• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第16章 ソレイユ.



「……」


 暗く広い教団の廊下を、灯りを手に一人歩く。
 コツコツと、私の足音しか響かない静寂の中。


「…まさかね」


 まだ少し痛む額から手を離して、一人ぼやく。

 ノアの聖痕。
 確かに言われればそうだ。
 ノアの一族は皆同様に、その額に十字架のような聖痕を持つ。
 でもそこに結び付かなかったのは、きっとそうじゃないから。
 ノアの聖痕はラビが言うように、額を一列に並んだ模様のような痕。
 今の私みたいな、ぽつんと二つだけ浮かんだ傷跡じゃない。


 それはまるで言い訳のようにも思えたけど

 首を振って、その嫌な予感は頭から追い出した。


 まさか。


 私の親はエクソシスト。
 こうして此処で働いている私も、教団に身を捧げているのに。


 そんな私がノアだったりなんかしたら。


「…滑稽過ぎて笑える」


 まるで陳腐な喜劇のようにしか、思えない。















/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp