My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
✣ ✣ ✣ ✣
「がッ」
「次」
「おゲッ!」
「次」
「ぶグふッ!?」
「次」
「げふォうァがッ!!!」
「オラ次!」
「なんさアレもう阿修羅みたく見えんだけど…」
「なぁに?アシュラって」
「戦闘の鬼神ってか、暴力の狂神ってか、とにかく目の前のユウが正にそれさ。リナリー怖くねぇの?」
「うん。いつもの神田でしょ、あれ」
「そうだけどさー…毎回やられてる身としては、いつも受ける拳がより重かったというか…」
「そういえばラビ、顔半分潰れてるけど大丈夫?」
「だいじょばねぇさスゲー痛い」
戦闘組織と相成っている教団では、常に人で賑わう場所の一つが第一修練場。
今日も今日とて、射撃場や剣術広場や水上広間など、各々の設備を生かした場で各々の戦闘技術の磨き上げが行われている。
この広い格闘技広場でもまた。
己の身体を鍛えようと訪れた猛者達が、しかし足を踏み入れる者から次々と薙ぎ倒されていた。
次々と間髪入れず目の前の人間を根絶やしにしているのは、長身長髪の青年。
無駄な動きのない体術は目を見張るものがあるが、それ以上に気迫が怖い顔が怖い。
そんな神田ユウの姿を、階段に腰を落ち着け様子見ていたのは同じに非番の身であるリナリーとラビだった。
神田とつい先程組み手を交え、物の見事に潰されたラビの顔は大きく腫れ上がり目の上には拳のようなコブ。
眼帯をしている左目は無事なようだが、これでは満足に前も見えないのではないか。
そんな少しばかり斜め方向へと心配を寄せるリナリーに、ラビは即答で首を横に振ってみせた。
投げ飛ばされ殴り潰され足蹴にされることは毎度であるが、今日受けた拳はいつも以上に重たかった気がする。
それはラビだけでなく、神田の後ろに屍の山を積み上げているファインダーやエクソシスト面々も同じなのだろう、いつも以上に血の気が退いていた。