My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「ティモシー。ここは箇条書きにした方が要点をまとめられるから」
「こ、こう?」
「そう。これだとフェイさんの添削に引っ掛からないんじゃないかな」
「へー!なるほど!さんきゅーな雪ねーちゃん!」
「いいえー」
翌日。
食堂で報告書と格闘しているティモシーを見掛けたから、朝食がてら出来を見てあげることにした。
和風サラダを合間に口にしながら、向かい席で情報を書き出しているティモシーの手元を覗き込む。
この大根、歯応えがシャキシャキしてて美味しいなぁ。
「私は任務の書類作成はよくわからないから、助かるわ」
「それでも毎日ティモシーの勉強見てるんでしょ?エミリアは凄いよ」
ティモシーの隣には、医療班エプロン姿のエミリア。
一から医療のことを学びながらティモシーの専属家庭教師もしてるんだから。
強い意思がなきゃ続かないと思う。
そんなエミリアに聞いたところ、ティモシーは勉強をよくサボるけど決して頭が悪い訳じゃないらしい。
そうだよね、じゃなきゃ怪盗なんて出来る訳ないし…今でこそ穴だらけの報告書だけど、場数を踏めばきちんとこなせるようになるんじゃないかな。
…それより問題は、こっちだ。
「ユウ。これスペル間違えてる」
「………」
食堂で見掛けたエクソシストはもう一人。
黙々と蕎麦を食しながら机には仕上がった報告書のバインダーが置かれていたから、珍しく早い仕上がりだなぁと覗いたら案の定所々穴が見受けられた。
ぽそりと隣に座っている姿に告げれば、無言で食べていた箸をバキリと折る。
それでも目線も合わせず再び短い箸で黙々と蕎麦を食べ始める姿は、なんとも器用で不器用だなぁと思った。
「後で一緒にしよっか、報告書のまとめ」
「要らねぇ」
ばっさりと一言で切り捨てる所は、相変わらず。
そんな姿につい苦笑が漏れた。
どちらかと言えばユウは絶対に不器用人間だと思う。