My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
仮面を被られたら、これ以上は何も聞き出せないかもしれない。
「トクサは、なんの為に戦うの」
それでも問い掛けた。
誰しも命を懸けて戦いに身を置くことに、大なり小なり理由がある。
それは自分の為であったり大切な人の為であったり勝利という目的の為であったり。
トクサはなんなんだろう。
純粋に気になったから。
「忌々しいAKUMA共を一掃する為です」
「…本当に?」
「しつこいですよ。それ以外に理由などありません」
救急箱を閉め片付けを終えたトクサの手が、黒いシルエットのそれを掲げる。
視界に入ればつい眉が潜まってしまう。
私の枷。
「今回は全く戦力として活かせていませんでしたので、明日の訓練はよりハードなものにしますよ。マダラオにも伝えておきますので」
「え」
「精々気張ることですね」
カチリと再び嵌められるチョーカー。
にこりと綺麗に笑うトクサに対し、私は全く笑えなかった。
マダラオってユウとは別の意味でスパルタだからなぁ…そして情け容赦無し。
「…チェンジで。テワクがいい。可愛い女の子が好みです」
「残念ですね、彼女は既に予約済です」
堪らずいつぞやの時のように頼み込めば、あっさり笑顔で却下を喰らった。
くそぅ、適応力上げたな。