My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「───以上です」
「………」
教団に戻って最初にやることは、司令室での任務の報告。
アレンの方舟で瞬く間に帰還し、もう今ではすっかり見慣れた新本部の司令室に身を置く。
いつものように要点をまとめて告げれば、コムイ室長は珍しく難しい顔をしていた。
理由はわかってる。
トクサが手短に伝えた、"私"の報告のことなんだろうな。
「雪くん、体の調子はどうだい?何か不都合なことはないかい」
「はい、今のところは。大丈夫です」
やっぱり心配してくれてるんだ。
教団の皆の命を背負うつもりだと言った室長だから。
そんな室長を余計に心配させる訳にはいかなくて、笑って軽く頷き返した。
不都合なところはない。
それは本音だ。
少し、首元がひりひりするだけで。
我慢できない痛さじゃない。
「それでも婦長の所には行くようにね。報告書はその後でいいから」
「…ありがとうございます」
私の返答が望むものだったのか、最後には笑顔を向けてくれた。
そんな室長にほっとしつつ、指令室を後にする。
ノアである私も背負ってくれた人だから。
これ以上私のことであれこれ悩ませたくないもんな…難しいだろうけど。
「それじゃあ私は医務室に───」
「その必要はありません」
「え?」
「部屋に戻りますよ」
「はい?」
司令室を出て、早速と医務室に向かおうとした私の足を止めたのはトクサだった。
言葉通りに、私の腕を掴んで阻止してくる。
え、何。
「言ったでしょう、手当てしてあげますと」
「え"」
本音だったのそれ。
「いいよ、婦長さんにしてもらうから」
「何を言いますか、そこまで大袈裟な怪我じゃないでしょう。それに忘れたのですか?その首の枷は私しか外せないんですよ」
「じゃあ外してよ。それから婦長さんの所に行く」
「何を言っているんですか馬鹿ですか。そんな怪我拵えて公の場に行けば、他の者の目にも止まるでしょう。自分の身を危うくする行為は慎みなさい馬鹿ですか」
「二度も馬鹿言わなくていいんじゃないかな!わかったよ、部屋に戻ればいいんでしょ、戻ればっ」
「ご理解頂き感謝します」
堪らず声を上げて頷けば、即座に綺麗な笑顔で返される。
感謝なんて到底してない癖にっ