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My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



「確かにお腹減りましたね。早く帰ってジェリーさんの料理食べないと」

「その前に報告書の作成です」

「ええーっ」

「ええーじゃありません!」



ティモシーに便乗するように真っ先に行動を起こしたのは、言わずもがなアレンだった。
ここは廃墟を離れ、方舟の設置された公共施設の前。
早速とドアを開けるアレンにリンクさんが釘を刺す。
どうにか大事にならずに無事教団に戻れそうかな…よかった。

ただ、地味に気になることが一つ。



「ね、アレン」

「なんですか?雪さん」



係の人に暗証番号を伝え、方舟ゲートの設置された部屋に案内される中。
そっと隣について呼び掛けてみれば、アレンはいつもと変わらない笑顔を向けてきた。
私を助けてくれた時もそう、いつものアレン"らしい"顔。
そこに違和感も何もない。

でも、



「なんでまた"さん"呼びに戻ってるの?呼び捨てでいいって言ったのに」



地味に違和感があったのは、すっかりいつものアレンに戻ってしまったこと。

あのハロウィンの夜、二人だけで交わした言葉。
私に名前を沢山呼んで欲しいと頼み、呼び捨てしてもいいかと照れた様子で伝えてきたアレン。
あのお陰でアレンとは歩み寄れたと思ったのになぁ…。



「ああ、いえ…呼びたいのは山々なんですが…」



ちらりと、アレンの目線が私から前方に移る。
それを目で追えば、先頭に立ってゲートへと向かうユウの背中が見えた。



「呼び捨てする度に毎回誰かさんが喧嘩吹っ掛けてくるもので」

「…ああ」



成程。
確かにハロウィン後からアレンが私を呼ぶ度に、ユウの威圧がビシバシ飛んできていた気がする。



「毎回その喧嘩受けてたら、段々うんざりしてきて。本当独占欲強いというか…あっ雪さんにうんざりなんてしてないですからねっ」



神田を見ながら、それこそうんざりした顔で溜息をつく。
だけど私へのフォローも忘れないアレンには、苦笑でしか返せなかった。

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