My important place【D.Gray-man】
第46章 泡沫トロイメライ
「全く…!勝手な行動は慎んで下さい!一歩間違えれば処罰ものですよ!」
「煩いなぁ。あそこで雪さんを放ってたら、今頃怪我を負ってたかもしれないでしょ。いちいちリンクに相談する暇なんてないですよ」
「その態度が勝手だと言っているのです!反省なさい!」
「あーハイハイ。ごめんなさい」
わー…リンクさん、完全にブチ切れてるな。
だけどアレンはリンクさんのキレ姿なんて慣れてるのか、どこ吹く風。
けろりとした顔ではいはいと相槌だけ打ち続けていた。
結局。
あの時唐突に現れたアレンのお陰で、私も憑神も窮地を脱することができた。
アレンのイノセンスでクリーチャーのようなAKUMAは退治できたし、巨大樹の崩壊にも巻き込まれずに済んだ。
確保したイノセンスは、今は厳重に鴉の札で守りながらリンクさんが所持してる。
結果だけ見れば上々だ。
だけどリンクさんは激怒。
怒っている理由は一つ。
リンクさんの指示を無視してAKUMA討伐を放棄したアレンが、私を助けに行ったから。
今回の任務はAKUMA討伐とイノセンス確保。
新米エクソシストのティモシーに、色々問題視されてる私もいるから。
念には念をと、腕の立つエクソシストはユウだけじゃなくアレンも就けられた。
そういえばアレンはリンクさんと二人で、ユウ達とはまた別のAKUMAの群を昇華してたっけ。
私と同じにノアメモリーを抱えているアレンだから、軽率に私に手を貸したことを多分リンクさんは怒っているんだろう。
何か問題が起きたらどうする、と。
それは…まぁ、否定はしないけど。
でもそんなこと気にしてたら、普通の任務もこなせなくなる。
私とアレンは組まされないと思ってたけど、よく上の人が許してくれたなぁ……それだけ教団のエクソシスト不足が祟っているんだろうけど。
なんせ、私の能力(ちから)まで利用しようとしてるんだから。
「全く。蚊の鳴く程度の力しか出せてませんでしたね、貴女」
「…だから言ったでしょ、実戦なんて無理だって」
リンクさん同様、溜息混じりに駄目出しをしてくる声が今度は私へと振り掛かってくる。
アレン同様、反論しながら目を向けた先には、真っ赤な緋装束姿のトクサがいた。
こっちもお叱りですか。