• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



「ちょこまかと煩い鼠だな。そういう奴は足を潰すに限る」

「い"…ッ」



見なくてもわかる。
あの気持ち悪い触手のような舌が、私の足首に巻き付いているんだろう。
ギリギリと容赦なく締め付けられて、堪らず苦痛が口から漏れた。



「足の次は頭。それでトドメだ」

「逃げぇや!ノア姐やん!」



それができたらとっくにしてるっての!



「ノアぁ?何言ってんだ餓鬼」



憑神の声にAKUMAが下品な声で笑う。
AKUMAが何を以ってノアを判別しているのかわからないけど、覚醒もしていない半端な私じゃ信じられなくても仕方ないかもしれない。



「こんな弱っちいノアがいるかよッ!」

「っ!」



ぶぉん、と風を切って丸太のような太い腕が振り下ろされる。
私の頭目掛けて。

駄目だ、潰される。

そう悟った瞬間、AKUMAの動きも憑神の叫びも全てが一瞬止まったように感じた。
走馬燈のようなものなのかな。
ゆっくりと感じる時の中で、動かない視界。



の隅に、白い光が映り込んだように見えた。



ザッ



風を切るような音が耳をつく。
同時に振り下ろされたAKUMAの腕が、容赦無くめり込んでいた。



「…あ?」



誰もいない地面へと。






「はぁ、危なかった」






安堵するような溜息が傍で聞こえる。
間抜けな声を漏らすAKUMAの姿が遠目に見えて、一瞬止まっていたような視界が一斉に動き出した。

目の端に捉えたと思っていた光は、いつの間にか目の前にあって。



「大丈夫?」



間近で問い掛けてくる優しい声。
しっかりとその人の腕に抱かれていることに気付いて顔を上げれば、声と同様に優しい瞳と目が重なる。

真白な頭。
真白な肌。
真白なイノセンスのマントを羽織った姿は、まるで光を纏っているような姿だ。



「…アレン」



唖然と驚いたままに呼べば、目の前のエクソシスト───アレンは邪気のない"らしい"笑顔を浮かべた。



「はい」



しっかりと、返事をすることも忘れずに。









/ 2637ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp