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My important place【D.Gray-man】

第16章 ソレイユ.



「あ、それな。オレも初めて知った時は驚いたさー」

「…ラビ、知ってたの?」

「もち。オレの本職はブックマンだし。歴史の表も裏も記録すんのが、オレの役目さ」


 夜も遅い教団の書庫室。
 その中で出会ったラビは、その本職の仕事をしに此処へ来たらしく。必要な文献を探していたところ、私を見つけたらしい。

 読んでいた資料を目敏く見つけられて、どう言い訳しようかと思っていたら、あっさりいつもの軽い口調でラビは言い切った。
 神田の過去を知っていることを。


「中々ヘビーな内容だよなー。そんな生い立ちじゃ、あんな性格になんのもわかるさ」


 うんうんと頷くラビに、どう返していいかわからず口篭る。
 確かに、そう言われればそうかもしれない。
 絶対とは言い切れないけど…神田の周りで起こった悲劇が、今のその心を作ってしまったのかも。


「……」


 …でも。
 前ならはっきりと、冷徹だの暴君だの言えたけど。
 今はそうは思わない。
 確かに人より乱暴な物言いや行動をするけど、それでも神田なりの優しさや心遣いを知ったから。
 ……酷い生い立ちだから、なんて言葉で片付けたくない。


「雪?」


 名前を呼ばれて、考え込んでしまっていたことに気付く。
 はっとして顔を上げれば、不思議そうにこっちを見てくるラビがいて。


「…ふーん?」


 その目は興味深そうに、私をじろじろと見た。
 何。


「何?」

「…いんや。やっぱユウと仲良いんさなーって思って」


 はい?


「急に何言い出すの」

「だってさ、こうしてユウのこと調べてんのは知りたいって気持ちがあるからだろ?」

「…任務仲間だから、知っておこうと思っただけだよ」

「それだけの為に、わざわざ立ち入り禁止の本棚で夜中に調べものなんてするさ?フツー」


 にこにこ笑ってるけど、真意を突いてくるラビの言葉には隙がない。
 普段はチャラけてるけど、人一倍頭も回るし人間観察も得意だから、そういうこと見破るのは得意なんだと思う。

 …ラビのそういうところは少し苦手だった。
 蓋をしている奥底の自分まで、いつか見破られてしまいそうな気がするから。

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