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My important place【D.Gray-man】

第16章 鳴かないうさぎ



 アジア支部の協力もあって、無事解決した黒の教団壊滅事件。
 改め、黒の教団壊滅未遂事件。

 その後、休む暇もなく駆り出された年末年始のアメリカ、ニューヨークでのAKUMA討伐任務。
 その時は馬車馬の如く働かせるコムイ室長に大いな不満があった。
 あった、けど。

 あの教団未遂…所謂ゾンビパニック事件での神田の貢献は大いに認められたらしく、結果私も合わせて、ニューヨーク任務後は珍しく数日の休みを貰えることとなった。
 その後は大規模な引っ越し作業が待っているけど、とりあえずは安息の数日。
 人手が足りなくて忙しい職場だから、連日休暇なんて貴重なもの。
 ということで室長への直訴は止めて、ありがたく休みを頂戴することにした。


「…あった」


 そんな休み一日目。
 体を休めるより何より、私が優先させたのは"それ"だった。

 夜の教団内部の大きな書庫室。
 つい先日お邪魔したニューヨークの公共図書館並みの広さを持つそこは、更に本棚が建物のように幾重も立ち並んでいる。
 その人目のつかない奥の奥の棚。
 そこは本来は一般の観覧が禁止されている本棚だ。

 人気の無いひっそりとした棚の羅列の奥底。
 持ってきた灯りを頼りに探していた資料を見つけて、棚の奥から引っ張り出した。


「"第二使徒"…セカンドエクソシスト?」


 資料に記載された文字を、指先でなぞって読み上げる。

 神田が教えてくれた第二使徒という名は、観覧自由な棚のどの資料や文献を探しても見当たらなかった。
 コムイ室長に聞けば早いんだろうけど、自分で調べたかったから。
 恐らく、と思ってこっそり制限の掛かってる棚を探せば、案の定その古びた資料は見つかった。

 重い資料を膝に乗せて、書庫室の隅の床に座り込む。
 持ってきていた灯りだけを頼りに、古びた表紙を捲った。

 最初のページは、真っ白な紙の上に一つの用語だけ。ぽつんと記されていた。


「…人造…使徒計画…?」


 人造使途計画。
 それが何を意味するものなのか、わからなかったけど…ひやりと嫌な予感だけは過ぎった。

 嫌な予感、当たらないといいんだけど。

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