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My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



地鳴りのような重い響きが大きさを増す。
ひらりひらりと舞い落ちていた葉が、まるで紙吹雪のようにばらばらと落ちてくる。
視界一面が青々しい。

巨大樹の根から見上げる様は圧巻だった。



「トトロじゃなくてラピュタだったんだ…」




ジブリ間違えした。
これはどう見てもラピュタだな、うん。

やっぱり巨大樹はイノセンスの原石の影響を受けていたんだ。
私が抜き取ってしまったから、力の源を失って崩壊が始まったのかもしれない。

…バルスって言ったら弾け飛んだりしないかな。



『何馬鹿なこと呟いてるんですか!今すぐ其処から避難なさい!』

「馬鹿って。ジブリを馬鹿呼ばわりしないでよトクサ。あれは傑作です」

『貴女のオツムの馬鹿さ加減を貶してるんですよ…!AKUMAの前で呑気に頭を緩めないでくれませんか!?』

「ああはいはい、すみません」



別に緩めてなんかないけど、そう言ったら言ったでまた怒られそう。
仕方なく謝罪しながら、耳元でぎゃんぎゃん煩いトクサに従うことにした。
揺れる不安定な足元に気を付けながら、巨大な根っこから跳び下りる。



「逃げるよ憑神!……あ。」



だけどそこで問題が一つ。



『何してるんですか、早く───』

「どうしようトクサ」

『はい?』

「憑神気絶させちゃったから、結界が解けない…」

『……はい?』



私の目の前には、結界に守られたまま気絶しているティモシーの本体in憑神。
結界装置は倒れた憑神の傍に転がっている。
あれを解除しないと、外側からじゃ憑神に触れることすらできない。

どうしよう…これじゃあ憑神を連れて此処から避難することができない。



『何やってるんですか貴女は…!本物の馬鹿ですか!』

「ああはいはいごめんなさい!憑神!起きて!逃げるよッ!」



大きな溜息と大きな叱咤。
盛大に呆れ顔をしているであろうトクサを頭の隅に追いやって、とにかく結界越しに憑神を呼ぶ。

あの結界装置は私の特注改良品だから巨大樹の崩壊から憑神を守ってくれるかもしれないけど、絶対無事という保証はない。
どうにか起こして、此処から逃げ出さないと。






「逃がして堪るかよ、アマぁ」






その時、ずん、と背後で重い足踏みが一つ。

…すごぶる、嫌な予感しかしない。

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