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My important place【D.Gray-man】

第46章 泡沫トロイメライ



「確か光を確認したのは、此処辺りだったような…」

「イノセンス探しも重労働やっしゃ…ワイは此処で待つさかい、姐やん見つけてきたってや~」

「さっきまでイノセンス舐めるななんて言ってたのは誰なの…」

「今はか弱き少年やっしゃ」

「怪盗Gとして世間騒がせてた子供のどこがか弱きよ、どこが」



ひらひらと笑顔で手を振ってくる憑神に呆れは募るものの、来るのを待ってる暇もない。
仕方ないと一人で巨大な蔓の上によじ登る。
本当、トトロに出てくる巨大樹みたいだなぁこれ…ぼこぼこと膨れ上がった根元の蔓達一本一本が、木々みたいだ。



「あった…!」



その蔓の隙間を念入りに見ていけば、一層複雑に絡み合っている蔓の中に"それ"はあった。
微かに煌めいて見える、小さな宝石のような結晶。
それがこの木を異様に巨大化させて、尚且つAKUMAを呼び寄せている代物だ。



「イノセンス確保できたんかー?」

「待って。もうちょっと…っ硬い…っ」



持っていた大振りのナイフで蔓に切れ込みを入れていく。
さっき年輪を確認した時はあっさり枝を切れたのに、何故かここの蔓には刃が食い込んでいかない。
これもイノセンスの影響なのかな。

ノコギリで木材を切るかのような地味な作業を続けること数分。



「はぁ…やっと見えてきた…っ」



やっと少しだけ断ち切れた蔓に、真っ青に輝くイノセンスの原石が視認できるようになった。
ここに腕を突っ込めば届くかな。

…でも前の中国任務みたいに、原石に拒絶されたらどうしよう。

その不安が残って、中々手を伸ばせずにいた。






「なぁにやってんだぁ?其処のチビ」






ずん、と地を踏む重い足音と共に、背後で聞こえたのは低い声。






「げぇ…!見つかってしもた!」



振り返れば、小さなティモシーの本体に入った憑神を前に立ちはだかる巨大なAKUMAの姿が見えた。
二足歩行で立つ錆びた鉄のような色のAKUMA。
顔と思われる頭部には目が無く、代わりに異様に巨大化した両手に無数の目玉がついている。
ぎょろぎょろと不規則に回るそれが、憑神の姿を捉えていた。

まずい、今の憑神じゃAKUMAには赤子も同然だ…!

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