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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



「…アレン、前に言ったよね。クロス元帥が消息を絶った部屋で。ユウみたいに長い月日を過ごしていない自分は、私と信頼関係は深く築けていないようなこと」



確かに神田と今の関係が築けたのは、決して時間は関係ない、とは言い切れない。
長くお互いを見てきた経験があったからこそ、それが今のお互いの関係の要因の一つでもあるかもしれない。

しかし、だからと言って時間を掛けずして作り上げられる信頼などないということはない。
その良い例が、今目の前にいる。



「月日はね、関係ないよ。だって初めてだったんだ」

「?」

「エクソシストに対して、素直に凄いなって尊敬できたのは。こういう人だから、誰かの為に世界と戦っていられるんだろうなって。アレンのこと、凄いなって思った。初めて会った時から」



神田のようにAKUMAだけを破壊する為でもなく、リナリーのように教団で守りたい人々の為でもなく、ラビのように使命があったが為でもなく。

見ず知らずの人々やAKUMAも含め、本当に世界の為にと戦っている。
そんな曇りなき真っ直ぐな瞳を持つエクソシストを見たのは、アレンが初めてだった。



「今までエクソシストに、そういう感情を抱いたことなかったのに。アレンが初めてだったんだよ。それは月日なんて関係ない」

「でも…僕は…僕が見るのが、嫌なだけだから…傷付く人を」

「充分でしょ?それで」



俯きそうになるアレンの頬に、ふにりと両手を挟み込む。
そうして上げさせた顔を見返し、雪は笑った。



「前にも言ったでしょ。アレンのそういう思い、真っ直ぐに持てるのは凄いことなんだよ私には。だからそんなに自分を卑下しないで。アレンにはアレンにしかないものを、ちゃんと持ってる。胸張っていいんだから」

「…っ」



銀灰色の瞳が揺れる。



「…雪さん…」

「うん。なぁに?」

「…雪、さん」

「うん。此処にいるよ」

「雪さん」

「うん。なんだか照れるね」



そんなに名前を呼ばれると、と照れ臭そうに笑う雪を前にして。
アレンはきゅっと唇を結ぶと、彼女を抱く腕に力を込めた。






「…雪、」






ぽそりと呼ばれたのは、聞きなれない呼び方だった。

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