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My important place【D.Gray-man】

第15章 12/31大晦日



 でも確かにその効果はあったらしく、周りは相変わらずあちこちハグキスの嵐が起こっていたけど、私達に声をかける者はいない。
 もしかして…これ、周りのイチャイチャしてる恋人同士と同じに見られてるのかな…。

 いや、ないな。
 多分女の子同士のハグとでも思われてるんだろうな。
 神田の顔なら女性に間違われても仕方ないし。
 もしくは家族とか。


「…あの」

「なんだよ」

「いえ」


 顔を上げずに声を出す。
 押し付けられてる自分の頬は、神田の胸元にある。
 強くはないけど、確かに回されている腕からほんのり感じる人肌。
 片手で押し付けられているそれは、ハグというには少し違うような気もしたけど。
 それでも冷えた空気の中で、確かな温もりを感じた。

 誰かに抱きしめられる記憶なんて、あまりなかったのと…神田相手なんて、天地が引っくり返ってもないと思ってたから。変にドキドキする。

 こっそり見上げた神田の顔は興味なく辺りを見ていて、その表情はいつもと変わらない。
 私だけ変にドキドキしてて、なんだか恥ずかしくなった。
 心臓の音が伝わりませんように…っ。


 トクン


 ──あ。


 トクン


 聞こえたのは、押し付けられた胸元から。
 ボタンを一つだけ外した前開きの段服に、丁度中の黒服に耳を押し当てる形になっていた。
 そこから届いた音だ。

 変に緊張で体は強張って直立姿勢の形で身動き一つできなかったけど、耳に届いたその音は確かな神田の心音。
 生きてる音。

 じんわりと伝わる体温に、トクントクンと聞こえる音はなんだか酷く安心した。
 …心地良いって言うのかな。

 思わず力が抜けて、恐る恐る神田に身を預ける。
 腕は回せない。
 そんな間柄じゃないし、神田は人と気軽にハグするような性格でもないだろうし。

 身を預けたのが感覚でわかったのか。背中に緩く回された腕が、僅かに反応したのがマントの上から伝わってきた。

 胸はドキドキするのに、同時になんだか心地良い。
 そんな感覚初めてで、なんとなく。離れたくないなぁって思った。

















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