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My important place【D.Gray-man】

第15章 12/31大晦日(番外編).



 思わず力が抜けて、恐る恐る神田に身を預ける。
 腕は回せない。
 そんな間柄じゃないし、神田は人と気軽にハグするような性格じゃないし。

 身を預けたのが感覚でわかったのか。背中に緩く回された腕が、僅かに反応したのがマントの上から伝わってきた。

 胸はドキドキするのに、同時に心地良い。
 そんな感覚初めてで、なんとなく。離れたくないなぁって思った。


「神田、」

「なんだよ」


 顔は上げずに、声だけで呼びかける。
 視線は周りの景色に向けて。

 キラキラと輝く周りのカラフルなネオン。
 止まることなく上がる花火は、まるで昼間のようにこの場を照らす。
 明るい音楽が周りを一層賑やかに演出して、至る所から上がる歓声。

 何処を見ても、皆幸せそうに笑っている。
 そんな人々の姿を見るのは嫌いじゃない。
 こっちまでなんだか、幸せな気分になれるから。

 でも。

 同時に羨ましさもあった。


「…ううん、なんでもない」


 そんな光景をじっと見ているのに、不思議と何故か気にならない。
 今こうして感じるこの気持ちは、周りの幸せな光景から貰えるものじゃなかった。
 多分…目の前のこの体温を感じているからこそ、貰えるもの。


「呼んでみただけ。…とか言ってみたり」

「用がないなら呼ぶな」

「すみません」


 ぶっきらぼうないつもの咎める声も、全然嫌じゃない。
 寧ろ心地良い。

 なんでだろう。

 今まで過ごしてきた年越しは確かに一人で過ごすものが多かったけど、毎年そうだった訳じゃない。
 ファインダー仲間やラビに誘われて、騒いで過ごした年越しもあった。

 なのに、なんでだろう。

 今まで過ごしてきた年越しの中で、一番と言える程に。


 それは確かな"幸せ"を感じられた。















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