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My important place【D.Gray-man】

第2章 空白の居場所



「神田、ちょっと」


 頭を仕事に切り替えて神田を呼ぶ。
 もしかしたらこのわんこだけじゃなく、他のわんこ達も血を被ってるのかもしれない。


「…やっぱり」


 確認すれば、予想通り。
 どのわんこも乾いてはいるけど、赤黒い血を体に付着させていた。


「AKUMAに殺られた人間の死体でも漁ったんだろ。野犬ならしそうなことだ」


 確かに。
 でも人の味を覚えた野犬なら、こんなに人懐っこくないはず。


「お前達、何処から来たの?」


 目の前のわんこの頭を撫でながら問いかける。
 鼻先を擦り付けてくる動作は、血を被っていても愛くるしいものだった。

 AKUMAは人以外は殺さなかったのか。
 それでもこんなにガリガリに痩せてる姿は悲しく見える。


「そうだ」


 ふと思い出す。
 そういえば、荷物の中に携帯食が入ってたはず。
 単なる一時凌ぎにしかならないだろうけど、ないよりはマシだと思って荷物のポケットに手を伸ばす。


「待ってて、少しだけだけど」


 わんこの頭を撫でながら、もう片方の手でポケットを漁る。


「やめとけ。中途半端な慈悲は迷惑なだけだ」


 その時、冷たく投げかけられた神田の言葉に、ポケットを漁っていた手が止まってしまった。

 …確かに神田の言う通り。
 飼えもしないのに餌をやるのは、ただの人の自己満足。
 わかってるけど。


「こんなに慣れてるから、きっと一度は人の手元にいたんだよ。後戻りできない子達じゃない」


 野犬だからと言って、それだけで切り捨てて見捨てるよりは。
 そう思い神田に目を向ける。

 わかって欲しいとは思ってない。
 でも私にも私の考えはあるから。


「だから──」


 言葉を続けようとして、ふとそこで感じたのは奇妙な違和感だった。

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