My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「それよりも二人の話、聞かせてもらったよ。折角のハロウィン行事を皆忘れちゃってるんだって?」
「え?…うん。でも仕方ないよ。皆忙しいみたいだし───」
「それは覚えてない皆が悪いね」
「へ?」
しゅんと肩を落とすティモシーに対し、コムイはさも当然と言うように首を横に振った。
「折角のイベントなんだし、人生は楽しまなきゃ損なのにねぇ。仕事ばっかりしてたらつまらない人間になっちゃうよ。そう思わないかい?」
「ぉ…思うっ」
「でしょー?ティモシー、それ今度フェイくんとリーバーくんにも言ってやって」
『……やっぱり追われてたんとちゃう…』
思わぬ味方現る。
当たり前に肯定してくれるコムイに、ついティモシーも前のめりになりながら強く頷いた。
そこに一人冷静な目を向けているのは、憑神のみ。
「あ、あの…コムイ室長。お言葉ですが、皆仕事で仕方なく───」
「そうだね、仕方ない」
否、エミリアもまたその一人。
しかし庇うように大人の意見を挟めば、コムイは気分を害することも否定することもなく、にこりと笑顔を返した。
そんな彼の意図が読めずに首を傾げる二人を前に、コムイはぱんぱんと服に着いた塵を払いながら腰を上げる。
「ティモシー、エミリアくん。良いことを教えてあげよう。此処には仕事人間が多いからね。彼らの息抜きの為に、室長として僕が皆にやってあげてることがあるのさ」
「へー!なんなの?」
「そんなことまで気を配って…流石室長ね」
『……せやろか…』
ふふん。
とふんぞり返りながらキランと眼鏡を光らせるコムイに、尊敬にも似た眼差しを向ける二人。
教団で働く者達の命を背負った最高責任者であるばかりか、団員達の精神的なケアまで気配りしているとは。
なんて凄い御方なのか。
ただ一人、白々しい目を向ける憑神を除いて。
「イベントも貴重な娯楽の一つだからね。簡単なことだよ。そういう時は、思い切って皆を参加させちゃえばいいのさ」
「参加させる?」
「って、どうやって?」
それが出来ないから悩んでいるのに。
またまた首を傾げる二人を前に、ふっふっと不気味とも取れる笑い声を漏らしながら、コムイは光で反射する眼鏡をくいと持ち上げた。
「大丈夫。僕に良い考えがあるよん☆」