My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
「そうですか。では室長にお伝え願えますか?月城雪が自身の話をすると意思表示したので、彼女と此処で貴方を待つと」
フェイさんの気遣いに目を見張っていると、椅子に高級そうなハンカチを敷いたルベリエ長官が、そこに腰を下ろす。
その、なんていうか…汚らしいものに座ってる感覚なら別に無理して座らなくても…って本当に此処でブレイクタイムする気なの!
私、一緒にお茶するとか言ってませんが!
「ですが…」
渋る様子でフェイさんが見たのは、長官ではなく私。
…やっぱり。
フェイさんは私のこと、気に掛けてくれてるのかもしれない。
仕事人間だから厳しい所はあるけれど、コムイ室長に感化されたのか、元からそういう人だったのか。
フェイさんは優しい所があると思う。
じゃなきゃユウの誕生日の任務やローマ任務で、何度も私の我儘を通して人選させたりしないだろうし。
リーバーさんと似てる人なのかも。
「私も長官に同意です。フェイさん、コムイ室長への伝達お願いできますか」
「…わかりました」
そう思えば、あんまり彼女を長官の毒牙には晒させたくない。
そういう意味でも頼み込めば、フェイさんは静かに頷いてくれた。
急なルベリエ長官の登場には驚いていたものの、感情らしい感情を一つも見せることのなかったフェイさんは、流石だと思う。