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My important place【D.Gray-man】

第44章 水魚の詩(うた)



確かに美味しそう。
というか、前に頂いた長官お手製ケーキは美味しかった。
だから絶対に美味しいことはわかるし、ユウのお陰で食欲も戻ってきたから今なら食べられそうな気はする。

気は、する。



「………」

「どうしました?神妙な顔をして」



なんとも言えずにマカロンタワーなチョコケーキを見つめていたら、ルベリエ長官が首を傾げた。



「…いや…自白剤とか入ってないかなって…」



あ、つい本音が出てしまった。



「それはそれは。信用されてないですねぇ」



しまったと思ったけど、長官は気にしていない様子でにこにこ笑ってる。
…その反応の方が怖いんだけど…。



「なら私も食せば問題ないでしょう?どうです、また一緒にお茶でも」

「え。此処でですか?」

「ええ。美味しい紅茶とケーキがあれば、何処でだって私にはブレイクタイムですよ」

「………」



そういやクロス元帥の事件部屋でも、優雅にお茶してたっけ…乾いた血痕を見ながら。

ルベリエ長官って、やっぱりどこか常人とズレてる所がある気がする。
主に悪い意味の方で。



「それで、フェイ補佐官は何故此処に?」



ふとフェイさんの存在を思い出したように、ルベリエ長官が仕切り直して問いかける。
急に興味を向けられたフェイさんも、流石に長官だと緊張するのか。
僅かに顔を強張らせた。



「ええ…コムイ室長に、月城雪の様子を見てきて欲しいと頼まれまして…」

「ほう。何故自分では出向かないのでしょうね。あんなに彼女のことを心配していたのに」

「外せない仕事が舞い込んできたので、代役として私が承っただけのことですわ」



それでもはきはきといつもと変わらない声色で話す所は、流石同じ中央庁の出というべきか。
でも同じ中央庁の人だから、なんとなくルベリエ長官側の人かと思ってたけど…フェイさんはそれ以上詳しいことは語らなかった。
外せない仕事っていうのは、多分ユウのことだ。
だから代わりにフェイさんがここに来たんだと思う。
なのにフェイさんは、その口から"神田ユウ"の名前は一切出さなかった。

…私がユウと接触したことを、もしかして敢えて言わないようにしてるのかな…。

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