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My important place【D.Gray-man】

第44章 水魚の詩(うた)



「だから室長に会わせて下さい…っ」

「…それは貴女の意思?神田ユウと何かしら言葉を交えた結果ではなくて?」



頭を下げれば、フェイさんの声色は変わりなく淡々と問いかけてきた。
核心を冷静に突く所は、中央庁に務めていたフェイさんらしい。

確かにフェイさんの読み通り。
私の今の言動は、ユウと言葉を、気持ちを、交えられた結果だ。
でも、それだけじゃない。



「はい。私の意思です」



間違いなく、これは私自身の意思だ。
目を逸らさずにフェイさんを真正面から見つめる。
迷いはない。
これは私自身で決めたことだから。

…だって。



「…それと…ルベリエ長官にも、お会いしたいです」



これは、私にしかできないことだから。



「ルベリエ長官に?」



変わらなかったフェイさんの表情が、僅かに感情を見せる。
だけどそれ以上は何も発さず、考え込むようにフェイさんは黙り込んだ。

生まれる沈黙。

だ、駄目なのかな…どうなんだろう。
フェイさんはどう動いてくれるのか。
規律に厳しい元中央庁の女性。
それくらいしかフェイさんのことを詳しく知らないから、どうとも予想できない。
言動一つ一つを見逃さないように、緊張して見守った。






「ほう、私をご指名とは」






だから驚いた。



「っ!貴方は…!」

「え…ち、長官!?」



その人が、まさかその場にいるとは思わなかったから。

知った声に、フェイさんと驚き追った視線の先は、扉の小さな開閉口。
全開になっている其処に、隙間なくぴったりはまってこちらを覗いている、鋭い眼孔が二つ。

って怖!
めっちゃ怖!
その眼孔でその登場の仕方はホラーだから!

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