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My important place【D.Gray-man】

第14章 黒の教団壊滅未遂事件.



「最初の任務地で、テメェずっと俺を見なかっただろ」

「…そんなことないと思うけど」


 確かに威圧感ある神田の顔を、ずっと見続けるなんて勇気いるけど。でも全く視線を交わさずに任務なんて遂行できないし。
 普通に目は向けてた気がする。


「テメェが見てたのは、俺じゃなくエクソシストっていう枠組みだけだ」


 …あ。
 どうしよう、バレてたんだ。

 エクソシストに対して私は無頓着だったから。任務仲間としては意識してたけど、それ以上の感情は向けなかった。

 思わず何も言葉が出てこなくて黙り込んでしまう。
 でも神田はそういうこと、気にしないと思ってたのに──




「モヤシのことは普通に見てやがる癖に、何贔屓してんだコラ」




 ってそれただのアレンへの対抗心!

 何それ、珍しいなぁなんて思ったのに。
 やっぱり神田は神田だった。
 思わずベッドに横になったまま脱力する。


「もう…アレンと張り合うのはいいけど、私を巻き込まないで下さい…」

「…張り合ってねぇよ、あんな奴に」


 いえ、すんごく張り合ってます。

 脱力したまま言えば、心底嫌そうな顔をする。
 その目は真っ直ぐに私を見下ろして。


「……俺を見て、テメェの目は俺を一度も見なかっただろ」


 吐き捨てられた言葉に、はっとした。
 それは私が幼い頃に感じたもの。





『貴女はうちの子じゃないんだから』


『立派なエクソシストになろうね』





 私の世話をしてくれた小母さんと、あの地下の部屋で接してきた教団の人々。
 私を見ながら、一度も私を見なかった。
 あの目は少しだけ嫌いだった。

 だって私の存在は認めてくれているのに、私の居場所はその何処にもなかったから。


「…っ」


 それと同じことを神田にしてたんだ、私。
 そう思うと、何故か胸の奥がぎゅうっと締め付けられた。

 自分が嫌だと感じたことを、この人にしてしまった。
 そんな自分が堪らなく嫌に感じた。


 あ、駄目だ。


「っ……ごめん」


 咄嗟に顔を神田から背ける。
 さっき見た治療器具で、思い出した過去のこと。
 それ故に落ちてしまっていた暗い感情が、吹き出そうで。

 駄目だ。
 私きっと今、凄い醜い顔してる。

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