My important place【D.Gray-man】
第14章 黒の教団壊滅未遂事件
アレンの笑っていない笑顔が嫌いだと言った神田。
それはなんとなくわかる。
だからあんなに仲も悪いんだろう。
でもそんなアレンに、笑顔が嫌いだなんて神田が言ったところは見たことがない。
私とアレンとじゃ立場も性別も違うから、見方も違うのかもしれないけど。
「なんでそんなに嫌うの? 私の顔」
神田は嫌なことには、遠慮無く罵声を飛ばす性格だけど。
建前や取り繕いなんて誰でもする。
私だけじゃなく、それこそラビやリナリーだって。
ずっと素の表情で居続けるなんて、きっと中々できない。
私は…まぁ、その取り繕いが人より多いとは思うけど。
「……」
思わず問いかけた言葉に、神田からの返答はなかった。
眉間に皺を作ったまま口をへの字に結んで、じーっと……あれ? もしかして考え込んでる?
「……わかんねぇ」
やがてぽつりとその口から零れたのは、自分でも腑に落ちないと言わんばかりの言葉だった。
え?……理由ないの?
「わかんないって…自分から言ってたのに?」
「うっせぇな。わかんねぇもんはわかんねぇんだよ」
あれ。なんかこれ、通気口で私が神田のこと知りたい理由を答えられなかった時と同じみたい。
今度は神田が困惑してる。
「ハッキリしてんのは、最初に会った時からテメェがその顔してたってことだ」
「最初?」
視線を私から逸らすと、顔を歪めて神田が言う。
神田と初めて出会った…というか初めてお互いを認識したのは、初めてエクソシストとファインダーとして、任務で組まされた時だった。
あれは確かモロッコでの任務だったっけ。
「最初の任務地で、テメェずっと俺を見なかっただろ」
「…そんなことないと思うけど」
確かに威圧感ある神田の顔を、ずっと見続けるなんて勇気いるけど。
でも全く視線を交わさずに任務なんて遂行できないし。
普通に目は向けてた気がする。
「テメェが見てたのは、俺じゃなくエクソシストっていう枠組みだけだ」
あ。
…どうしよう、バレてたんだ。