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My important place【D.Gray-man】

第44章 水魚の詩(うた)



「人はいずれ死ぬものだ。人で在る限りな」

「………」



そうきっぱりと告げれば、雪は驚きの反応を示したりはしなかった。
じっと俺を見つめ続けたまま、静かに受け入れたかのように唇を閉じる。



「わかったか」

「…うん」



ただ。
頷きはしたものの、表情はどこか虚ろで声も覚束無い。
胸の前で両手を握り締めて縮めた体は、微かに震えていた。

…その身にイノセンスの脅威を感じた時に、"死"でも悟ったのか。
真意はわからなかったが、恐怖に怯えるような雪の姿に、気付けば小さな拳に手を重ねていた。
包み込むようにして、震える肌を握り締める。
するとやがて治まってくる雪の肌の震え。
落ち着きを取り戻したかのように、音もなく深呼吸をする姿。

…そうだ。
誰がなんと言おうと俺もノアも不死じゃない。
死から逃れられることなんてできない。
それは絶対の輪廻。

…………ただ。






"これで本当に終わりだ"

"…わかってねェなあ…"






スキン・ボリックに最期の一撃を六幻で喰らわせ、絶命させた。
体を半分以上失って、塵と化す直前。
あいつは消えゆく自分の命の灯に気付いていたはず。
なのに最期まで、その口元に嫌な笑みを浮かべて嗤い続けていた。






"ノアは不死だ……まだ…終わって堪るかよぉ~…"






最期の捨て台詞はそんな陳腐なものだった。
負け犬が残していくようなもの。
なのに…寒気のする嗤い声を残しながら漏らした言葉は、とても負け惜しみのようなものには聞こえなかった。



「………」



俺の頭にこびり付いて残っている。



不気味さが、残るもの。

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