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My important place【D.Gray-man】

第44章 水魚の詩(うた)



『──…いいんじゃないか?』

『は? なんでだよ』

『はは。そう言われると上手くは説明できないな』





 その苛立ちの意味がわからなくて……知りたくて

 ある日、唯一本音を吐き出せていたマリに文句付きで愚痴ってみた

 雪に対して特別な想いを抱いた今でも、あの感情はなんだったのかよくわからない

 とにかく苛立ちはあった

 そこに好意なんてもんはなかった

 そんな負の感情なんて、持ってても俺も雪も別に特なんてしないだろ

 実際にあの頃はリナに比べれば雪に心なんて開いてなかったし、ファインダーとして使えるだけのどうでもいい存在だった

 なのにそれでいいんじゃないかと、マリは穏やかな顔で笑ったんだ





『苛立ちであれなんであれ、そこに"感情"があるなら。私は良いことだと思う』

『…よくねぇよ。俺には邪魔なもんだ』

『そうか?…私は、不必要なものではないと思うぞ。その負の思いも神田ユウという人間を作り出している、大事な要素の一つだと思う』

『……』

『それに私は、昔より今のお前の方が好きだしな』

『はっ? な…っに、言ってんだ気色悪い!』

『はは。すまん』





 結局マリに話してみても、わからないことはわからないまま

 ただ任務の度に雪を罵倒して引っ叩いていれば、割と気分転換にはなって無駄な怒りを周りに撒き散らさずに済んでいたし

 …アルマのことで、塞ぎ込むことも減った

 だから利便性はあるかと、自分に納得させることにした

 誇張して例えるなら人間サンドバックだな

 誤ってリナにそのことを漏らしてしまった時は、盛大に怒られたが

 それでも所詮、あの時の俺にとってあの時の雪はその程度の存在だった


 ただ、何度も罵声を飛ばして、何度も拳を落として

 その度に俺を睨んでくる雪の顔は、唯一人間味があるもので

 しっかりと俺を暗い眼の中に宿して睨んでくる様は、悪くない表情だと思った





 それだけは、今でもはっきりと憶えている

















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