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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



「…ぷっ」

「オイ。なんで笑ってんだ」

「いや…律儀だなぁ、って思って」


 綺麗な顔して雑な物言いや態度が多いユウだから、つい感心して笑ってしまった。
 その反応が気に喰わなかったのか、ユウは不満げな顔をしてたけど。


「当たり前だろ。女は男より厄介な体してんだろうが」


 ぶっきらぼうな言い方だけど、きちんと私を考えてくれてる言葉。

 その気遣いに胸はじんわりと温かくなる。
 女性ということに気を遣ってくれたこともそうだけど…それって、私の未来を考えてくれてることだろうから。
 今しか見ていなかったら、できない気遣いだ。
 だから、なんだか胸に浸みて…じんわりと、温かい気持ちになった。


「ユウ…ありがとう」


 素直にお礼を言えば、特に返事もなく当たり前だという顔で返された。

 うん、でもね。
 気遣いは嬉しいんだけど、中出ししなくても挿入だけで妊娠する可能性はゼロじゃないからね。
 ……とは、言わないでおこう。
 今言うのはなんか野暮な気がするし。
 それに結果的に問題はないから。

 だって。


「でも大丈夫だよ。私ピル飲んでるし」

「………は?」


 自分で予防線は張ってたから。


「だから、ピル。避妊薬。知らない?」

「……知ってる」


 あ、知ってるんだ。

 唖然とした顔で見てくるユウに、じゃあなんでそんなに驚いているのかと不思議に思う。

 別にユウに対して不信感があった訳じゃない。
 此処は戦争をしている職場。
 ユウはエクソシストっていう特異な立場で働いてるし、私もエクソシスト程とは言わないけど同じような立場だ。

 そんな職場で、妊娠して子供ができました、だなんて。簡単には許されないことだと思う。
 実際はわからないけど。
 あのコムイ室長なら、案外両手叩いて喜ぶかもしれないし。

 でも、ユウは普通のエクソシストとはまた違う。
 教団の為に造られた存在。
 その立場を脅かすようなことはできない。

 だから自分で予防線を張った。
 避妊具を付けてたって、万が一って可能性も否定はできないし。
 ユウに迷惑はかけたくないから。

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