第43章 羊の詩(うた).

「んぶ…っ！」


　動きが止まったのは一瞬だけ。
　その後すぐに私を襲ったのは、咥内の熱の塊の強い主張だった。

　咥えていた限界より深く喉奥に差し込まれる、脈打つユウの半身。
　顔は固定されてるから、退こうにも退けない。
　何度も大きくグラインドされて、その度にくぐもった声が喉奥から上がる。
　なのに叫びにはならない。
　ユウのもので口いっぱいに塞がれてるから。

　苦しい。息が詰まる。
　喉奥を叩かれて嗚咽感も混じる。

　でも逃げ出せない。
　力じゃ到底敵わなくて、ユウの腰を強く掴むことしかできなかった。


「んんっぅ…！」

「っは……は…ッ雪…ッ」


　荒く息衝きながら、求めるように私の名を呼ぶ。
　苦しさで涙が溢れてぼやける中、熱い男根の先が私の喉奥を擦り上げて、同時に何もかもが弾けた。


「ぅ、く…ッ…！」


　絶頂を迎えたユウの声と震えが、肌から耳から咥内から、あらゆる所から伝わってくる。
　だけど一つ一つ感じてる余裕なんて私にはなかった。
　喉奥で吐き出された青臭い欲望に、意識は埋め尽くされていたから。


「んぐ…っふ、んく…ッ」


　喉奥に流し込まれる、青臭い液体。
　喉に絡んで気道を塞ぐ。
　このままじゃ窒息してしまうと、堪らず喉を鳴らして飲み込んだ。

　すると顔を固定していたユウの手から力が抜ける。
　と同時に、腰が退いて口の中をいっぱいにしていたユウの半身がずるりと抜けた。


「げほっ…かは…ッ」


　咳き込む口から、ぼたぼたと垂れ落ちる白濁したもの。
　でも大半は飲んでしまった、勢いで。
　だって飲み込まなきゃ、嘔吐してしまいそうだったから。


「ッ………悪、いっ」


　イったばかりで余韻も残ってるんだろう、濡れて色付いたままの目で、荒い息をついたまま。でも何より優先して私の様子を伺ってくる。
　そんなユウの顔を間近に見ながら、とにかく嘔吐感を押し込む為に。


「ん…っ」


　こくん、と。咥内に残されていた、ユウの放った欲をどうにか飲み込んだ。