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My important place【D.Gray-man】

第13章 夢現Ⅰ.



「お前…」


 ズクズクと不快感が増していく。
 血管が浮かび上がる腕を押さえて蹲ったまま、声の主を見る。
 バク支部長と蝋花さんの後ろに見えたのは、アレンを押さえ込んだままこちらを見る神田。


「…ごめ…ドジった、」


 つい漏れたのは、AKUMAのウイルスに侵された時と同じ言葉。
 瞬間、神田の顔が大きく歪んだ。

 あ、そうだ。
 あの時笑ってただろって、注意されたんだった。
 今、私はどんな顔してるんだろう。
 平気じゃない時は言えって、そう言われた。


「っ…支部ちょ、逃げて…私、置いて」


 多分、平気じゃない。

 ドクドクと熱さを増す体の中の血管に、体中を不快感で侵される感覚。
 私もいずれアレンやティムと同じ、ゾンビになってしまう。
 でもこの状況で縋り付くことはできない。
 ゾンビになれば私も加害者側。
 皆に迷惑をかけるようなことは、したくない。


「ワクチン、作って下さ…お願い、します」

「月城…っ」


 支部長の腕を掴んで頼み込む。
 間近に見えたその顔が悔しそうに歪んだ。

 一番に守るべきは、私でも神田でも蝋花さんでもない。
 ワクチンを作れる唯一の、この人だ。


「くそ…ッ逃げるぞ、蝋花、神田…!」

「でも…っ」

「此処で僕らも感染したら、それこそ月城を救えなくなる!」


 支部長の言う通り。
 だから早く、行って。


「神田! 無闇にウォーカーと戦うな! 君まで感染してしまう!」


 床に座り込んだまま、支部長の視線の先を追う。


 ズダンッ!


 途端、床に叩き付けるような音が響いて、舞ったのは白いアレンのマント。
 うわ。イノセンスなしに、アレンの体放り投げた。

 すご。


「ったく、テメェは…!」


 そのまま振り返った神田が、苛立ち混じりに睨んだのは私。


「おい、お前! 白衣寄こせッ」

「えっ!?」

「早くしろ!」


 そして踵を返したかと思うと、蝋花さんから何故か白衣を奪った。
 ビリビリとあっという間に裂いたそれはただの布きれと化す。

 何して──


「んむッ!?」


 急に口元に布きれを押し当てられる。
 そのまま思いっきりぐるぐると、猿轡するかのように口を覆って縛り上げられた。

 な、何急に!?

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