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My important place【D.Gray-man】

第2章 空白の居場所



「神田って動物に好かれる性質だったんだね…知らなかった」

「好かれてねぇよ」


 いえ、どう見ても好かれてます。

 神田の足元に視線を落とせば、其処には大小の様々な犬種のわんこが自由に擦り寄っていた。
 鬱陶しそうに見下ろす神田の目は冷たいのに、まるで臆した様子なく好きに寛(くつろ)ぐわんこ達。
 ある意味、貴重な光景だなぁ。


「でも報告にはこのこと書かれてなかったけど…最近、彷徨(うろつ)くようになったのかな」

「犬のことなんざどうでもいいだろ。問題はAKUMAだ」

「その肝心のAKUMAの姿がないんだよね…」


 枯れた木の幹に背中を預けてその場に屈み込む。
 隣にいる私が見つけたわんこの頭を撫でれば、気持ち良さそうに鼻先を擦り付けてきた。


「もしかしたら夜に出るのかもしれないし。待ってみるしかないよ」

「…チッ」


 舌打ちして腕組みしたまま、神田が墓地の看板に背を凭れる。
 それはよく見る神田の待機の姿だ。

 持久戦になるかもしれない。
 なんとなくそう感じた。

 墓地で待機とか嫌だけど、下手に動き回る方が危険。
 神田と二人で一箇所にじっと待機なんて沈黙が嫌だけど、このわんこ達のお陰で少しは気が紛れそうだし。
 可愛い動物はどんな場所でも癒される。


「よーしよしよし」

「……」

「うりうり。可愛いなぁ」

「……」

「もふもふ」

「…オイ」


 ん?


「なに遊んでやがる」


 私について来たわんこは人懐っこくて、その子をこれでもかと愛でていたらツッコまれた。
 鋭い目をしたエクソシストさんに。


「や、なんか。つい」

「ついじゃねぇよ。今は任務中だ」

「沢山のわんこ引き連れてる時点で、説得力はないかな」

「好きで引き連れてるんじゃねぇよッ」


 まぁ、そうだろうね。
 相変わらずわんこ達は、好き勝手に神田の足元で寛いでるけど。

 心底嫌そうに吐き捨てる神田の額には、くっきりと青筋が浮かんでいた。
 これ以上煽るようなことは止めておこう。


「ごめんごめん」


 取り繕うように笑って謝れば、神田の冷たい目はそのまま。


「モヤシと一緒だな」


 ふいと逸らされた。

 アレンと一緒?

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