My important place【D.Gray-man】
第13章 夢現Ⅰ
期待する月城を否定しながら、出口方面から背を向ける。
このままあの大量のゾンビを引き連れて、外に出んのは流石に無理だ。
それこそ被害が拡大して手が付けられなくなる。
「はぁ…」
本当、面倒な奴らばかりだ。
「俺があのゾンビの塊を足止めする。お前はあいつらを援護しろ」
「! わかった」
頷く月城を確認して、もう一度大量の迫り来るゾンビに視線を変えた。
ったく、手間かけさせんな。
「たっ助かった…! というかなんなんだあれは!?」
「ぜぇっ…はぁ…ッ! し、死ぬかと思いましたぁああ~!!」
「しーっ二人共、声抑えてっ」
結局。大量のゾンビを全て片すには至らず。
こいつらの安全確保の為にも、またもや密室に避難する羽目になった。
でけぇ声出すな、口塞ぐぞ。
「でもなんでアジア支部の人達が此処に」
「ああ。昨日コムイとの電話中に突如、音信不通になったんだ。何処に繋いでも連絡が取れないから、何事かと思ってだな」
「引越しのお手伝いついでに、皆で確認しに来たんですよ~」
ってことは、つまり。
「まさか…ゾンビの数増やす羽目になったんじゃねぇだろうな…」
さっき逃げながら聞こえてきた会話からして、既にアジア支部連中から感染者は出ていた。
ただでさえ面倒な数いんのに、更に増やしてどうすんだよ。
「仕方ないよ。支部長達は何も知らなかったんだから。寧ろ好意で来てくれたんだし、感謝しないと」
遠慮しながらも言い返してくる月城につい眉間に力が入る。
それでも起きてしまったことをうだうだ言い続けるのも面倒で、口を閉じた。
「それで、何があったんだ? 月城、僕らにもわかるように説明してくれ」
「はい。ええと…話せばちょっと長くなるんですけれど──」
それから月城が二人に事の発端を説明すること、数分。
「な…っなにィ! リナリーさんが亡者に成り果てただとぉおお!?」
「そんなッあのウォーカーさんがゾンビになんて…!!」
「だから二人共声大きいッ」
またもや盛大な二度目の悲鳴が上がった。
つーか問題はそこじゃねぇだろ。
本気で口塞ぐぞコラ。