My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「だから神田くんが先だったんだ。雪くんに対して見せた、"彼らしくない態度"は」
ユウ…らしくない態度だったんだ。
私にはよくわからないけど。
「それでも不安はあったけどね。君達はまだ幼い子供だったし。大人もなしに二人だけで任務に向かわせるのは、仕事をこなす腕はあっても不安はあった」
でも私は幼い頃から、よくユウと二人で組まされてた。
最初はイノセンス回収ばかりだったけど、そのうちにAKUMA討伐も混じってきて。
それでも主に二人だけの任務が多かった。
ユウと二人きりで知らない国に赴く。
その空気が心底苦手だった。
無言の威圧は半端ないし、友好的な態度は一切見せてこないし。
毎回神経が擦り減ってた気がする。
「じゃあ…なんで…」
「それでも神田くんが他のエクソシストやファインダーと組ませると文句言ってくるからさー。仕方なく二人の任務が多くなっちゃったんだよ」
「…そんな理由で?」
「だってぐちぐちずーっと文句言ってくるんだよ? あのこっわい顔で。こっちだって仕事忙しいのにさぁ。相談窓口じゃないから僕。聞いてるのも面倒なんだよねー」
「面倒って。ちょっと」
「仕事忙しいって。どの口が言ってんさ」
やれやれと肩を竦めて愚痴る仕事サボり魔なコムイ室長は、いつもの彼と何も変わらない。
ついラビといつものように突っ込んでしまうくらいに。
此処は教団の地下の独房なのに、司令室でいつも話している時のような錯覚がしてしまった。
「それにティエドール元帥もね、喜んでたんだよ。君達二人が組んでる姿を初めて見かけた後、それはもう嬉しそうに僕の所に報告しに来たんだから」
…ティエドール元帥が初めて私達を見たって…それ、あの夢で見た過去の出来事だ。
「とっても素敵なものを見てしまったって。ノルウェーで見た朝焼けのようだったって。砂砂糖のようだとも言ってたよ」
「…はぁ…」
朝焼けと砂砂糖?
…元画家である人の表現はよくわからない。
「その表現は僕には理解し兼ねたけど」
あ、室長もそうだったんだ。