My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
ユウが受けたイノセンスの適性実験。
それがどんな内容なのか、詳しくは知らないけど…決して軽いものではないんだろう。
自分自身の経験でわかる。
そういえば人造使徒計画の資料に、そんな記述も…載っていたような…。
「……」
上手く回らない頭で、コムイ室長の言わんとしていることを理解する。
それと同時に、言葉を失った。
だって。
だって、それって。
「……だから…」
「…雪くん?」
「……」
だから、私とユウは"相性が良い"なんて言ったの?
室長は。
「……だから…何度も、組ませたんですか…?」
「え?」
「任務。私とユウは相性が良いからって…同じ経験をしてたから?」
そんなの。
それじゃあ、私とユウは肩書きでくっ付けられたの。
過去の経験が似てるからって。
似たようなものを抱えてるからって。
あわよくばお互いがそういう仲になればいいって。
そんな思いで、室長は私達を組ませてたの?
「何…それ」
「雪くん…それは、」
「私とユウが一緒だから? 似てたから? 傷の舐め合いをさせれば、孤独を埋められると思ったんですか?」
違う。
そんなふうに室長を責めたい訳じゃないのに。
今ここでそんなこと言ってもどうしようもないのに。
なのに口が止まらない。
手が、目の前の白いローズクロスの室長服を強く掴む。
「室長にはどんなふうに見えたんですか。同じ傷を負った可哀想な子供にでも見えたんですか?」
同情なんて嫌いだ。
私一人だけならまだ許せても、その目がユウにも向いてたのだとしたら。
私とユウは可哀想な子?
可哀想だから、二人で手を取り合って支えていければいいと思われたの?
そんなの
そんな、の
余計なお世話だ
「そうさせたのはあんた達の癖に…ッ!」
「っ…!」
ユウよりも高い身長の、室長の胸倉を掴む。
私が縋るような情けない姿にしかならなかったけど。
罵倒せずにはいられなかった。