My important place【D.Gray-man】
第11章 黒の教団壊滅事件Ⅳ
キラキラ光る綺麗な結晶。
それが私は怖かった。
両手で触れると激しい熱と衝撃が走って、いつも私の手をズタズタにする。
「つぅッ…!」
「よし、このまま。接触を続けよう」
「ぃ、いた…ッ! いた、い…ッ!」
「大丈夫。あと少しだから。あと少し」
大丈夫じゃないよ。こんなに痛いのに。
もう両手の感覚もない。
何を握っているかも、わからない。
「新記録更新です…ッ」
「いいぞ、その調子で接触すれば──…!」
「雪ちゃん頑張って…ッエクソシストになるんだ!」
お父さんが残したものが私を受け入れてくれたら、そしたら私は立派なエクソシスト?
エクソシストになったら偉いの?
世界の為に戦ってたら偉いの?
そんなに偉い人になったら、私を置いていっても、仕方ないの?
「…ら…ぃ…っ」
イノセンスがあれば許されることなら。
私は──
「いらない…ッ!」
力も、栄誉も、何も要らない。
それなら私は、今のまま。
ただの人間でいたい。
「まずい、拒絶反応が出てる!」
「イノセンスが…!」
強い光が視覚を遮る。
ビキビキと血管を走るような痛みは、腕まで裂いて真っ赤に染めた。
《 雪 》
一瞬、意識の中で見えた顔。
声も知らないのに、その優しく紡いだ低い声は。
「おと…さ…ッ、」
刹那。パキンと、手の中で。
何かが壊れるような、音がした。