My important place【D.Gray-man】
第11章 黒の教団壊滅事件Ⅳ.
「痛…っ」
ビリ、と掴まれている手首に鋭い痛みが走る。
掴まれた手の隙間から溢れる赤は、やがて噴き出すように。
鼻を突いたのは鉄の臭い。
これ、血だ。
「は、なして…ッ」
咄嗟に強く腕を退く。
なのに小さな細い手はビクともしない。
強く私の手首を掴んだまま。
──いたいの、なおしてくれるんでしょ
じわりと布団に染み入る赤。
──いっしょなのに…なんできみはきれいなの?
一緒?
「どういう──」
意味なのか。
問う前に染みた赤は、布団の中から溢れ出して、
ずるりと、その姿が這い出した。
「ぼくはこんなに、ぐちゃぐちゃなのに」
赤
黒
白
見えたのは。
腹から下を赤黒い肉片でぐちゃぐちゃにした、知らない男の子。
「ぜんぶ、いたいの。だから、」
肉片の隙間から見える白い骨。
血管や神経の組織が、全部剥き出しになっている。
こんな状態で生きている方がおかしいのに。
「きみのからだ。ぼくにちょうだい」
痩せこけた顔を上げて、懇願する姿に。
「…っ」
泣きそうになった。
ああ、私は
この子をきっと、知っている。