My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
✣
でっかい爆発音みたいなもんがする直前、急に目の前は真っ暗闇に包まれた。
「なっ何!? 何が起こったの!?」
この声はエミリアだ。
「真っ暗ね…」
これは院長先生。
「どこだよここ…んぐっ」
真っ暗だけど、誰かに強く抱きしめられている感覚はわかる。
顔に押し付けられているのは、たぷんとした柔らかくて大きなマシュマロみたいなもの。
その感触でわかった。
オレを抱きしめてるのはエミリアだ。
嬉しいけど…ちょっとだけ息苦しい。
エミリア、強く抱きしめ過ぎだって…っ嬉しいけど!
「──!」
すると急に明るい光が差し込んだ。
眩しくて思わずぎゅっと目を瞑ってしまう。
瞼の向こうの明るい光。
恐る恐る目を開ければ、逆光で照らされる真っ白いものが見えた。
…あ。
「怪我は」
「あ…ありません…けど…」
「あれ? お前…オレと縄で縛られてたんじゃ…」
バサリと白いなにかが舞う。
見れば、オレとエミリアと院長先生を覆うように広がっている、白くて大きなマントみたいなもの。
それはすぐ目の前で優しそうな笑みを浮かべている、白髪のこのあんちゃんの体に繋がっていた。
…あれ? こんな真っ白なマント、着てたっけ。
寧ろ真っ黒な服装だった気がするけど……んん?
そういやこのマント、あの美術館で初めて会った時も着てたような…ってそれより。
オレと一緒に縄で縛られてたはずなのに。
いつの間に抜け出して──
「あ。」
もぞもぞとオレの膝の上で何かが動く。
見下ろせば、あの金色の鳥のようで鳥じゃない生き物がギザギザの歯で縄を器用に解いていた。
こいつが外したのか?
「ティムキャンピーって言うんだ。よろしくね」
「ティムキャンピー…」
…変な名前。
でも…ちょっと面白い。
白髪のあんちゃんの言葉に反応するように、ティムキャンピーって鳥がギザギザの歯を見せたままニッと笑う。
口しかない、目も鼻もない変な生き物だったけど、不思議と怖くはなかった。
思わず両手で挟んで握れば、丸くて金色の体はぷにぷにした感触。
柔らかっ
「ふふふふふ」
そこに、聞いたことのない笑い声が響いた。