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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



 ──暗闇。
 水面のような波紋が広がる、異空間に佇む複数の影。


「くくく…さぁ、主の為の特性の術じゃぞ。アレン・ウォーカー」


 ケタケタと、笑う度に白い歯が鳴る。
 そこには真っ白な剥き出しの歯だけ。
 歯茎も唇も、その顔には本来人ならばあるはずの"肉"がなかった。

 剥き出しの人の頭蓋骨のような、白い顔をした奇妙な生き物。
 それらは守化縷(スカル)と呼ばれる者達。
 千年伯爵が人間から創り上げた魔道士であり、AKUMAとは異なる存在。
 しかしそれらもまた伯爵に加担する者達である。


「この結果(ヘキジ)の内では左眼も奏者の能力も働かん」

「脱出も叶わず。主等は袋の鼠よ」

「往き交えるのは我等のみ」


 暗闇の中、足元の水面のような波紋の下。そこからぼんやりと光を放つのは、結界に封じ込められた胡桃色の煉瓦の建物。
 鏡のように映し出されたそれは、暗闇に佇む孤児院だった。


「さぁAKUMA共よ。レベル4がエクソシストを抑えよう。その隙にイノセンスを奪え」


 守化縷の声がコシカルを通じ、向こう側にいるその者達へと届く。
 鏡のように映し出された水面の下。暗闇の中、孤児院に近付く三つの影が見えた。
 暖かな分厚いスーツとコートを身に纏った紳士服の男性二人に、バッスルスタイルの婦人服に身を包んだ女性一人。


『イノセンスは此処か…』


 一人の男性がハット帽を脱ぐと、その額には逆様の星形模様が浮かび上がっていた。
 と、不意にその顔がメキリと歪む。
 ミシミシと音を立てながら、内部から皮膚を突き破るようにして現れる硬い甲殻。
 ずるり、と音を立てて薄い人の皮を突き破るようにして現れたもの。


 ──ウィイイン…


 微かな振動を立てながら、機械のような甲殻をメキメキと伸ばすように鳴らす。
 額に逆様のペンタクルを掲げたそれは、千年伯爵によって造り出された悪性兵器。

 AKUMA。

 ミシミシと音を立てて人の皮を脱ぎ去るのは、男だけではなかった。
 シルクハットの男性とクリノリンドレスの女性も同様に、人型のシルエットをボコボコと大きく歪ませながら内部から姿を見せる。

 それらはどれも、人成らざる姿を形作っていた。















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