My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「周りの町が消えた…っ!?」
違う。
「俺達が結界に閉じ込められたんだ!」
「何…ッそれじゃあAKUMAが…!?」
マリの言葉を否定すれば、拡聴器のヘッドフォンに手を当てて辺りの心音を探る姿。
マリの聴力にも探知能力はあるが、それ以上にAKUMA探知に対して有効なのはモヤシの左眼だ。
「左眼にはなんの反応もないのに…っ」
だがモヤシのその眼は反応していなかった。
あいつのAKUMAの呪いを受けた左眼は、自動でAKUMAを探知する能力を持っている。
目に見えてわかる、スコープのような形状の物体がその眼の上に浮かび上がる現象が起こる。
だがモヤシの眼に異変はない。
左眼が発動していないのに結界に閉じ込められた。
…どういうことだ。
まさかAKUMAじゃなくノアか何か、別の敵が作った結界だってことか?
「…それでもAKUMAである確率は高いだろ」
こんな芸道、普通の人間にできる訳がない。
そもそもこの孤児院を狙う理由だって、考えられるとすれば俺達"黒の教団"かあのガキの額の"イノセンスであろうもの"だ。
とにかく一刻も早く、この状況把握をすることが先だ。
「一度外に──」
外に出て周りを探る他ない。
そう六幻を手にドアへと体を向けた時だった。
背後の窓の外から感じた、ビリッとした振動。
「ッ伏せろ!」
「「!」」
それがなんなのか視認する前に、体はその場から飛び退いていた。
ドォンッ!!!
同時に、大きな砲撃を喰らったかのような音と衝撃波が部屋全体を襲った。