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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



「嫌だッ! 勝手にオレのこと決めんな!!」


 今までずっとだんまりを決め込んでいたガキが、大きく反発するように突如声を荒げた。


「お前ら親父と同じだッ! オレを物みたいに…!」


 物?
 …何言ってんだこいつ。
 当たり前だろ。
 俺達エクソシストは所詮"道具"なんだよ。

 俺もマリもその為に人体実験なんてされた。
 モヤシだって、利用価値があるからと14番目の宿主であっても教団でエクソシストとして戦わされてる。
 リナはイノセンス適合者だったが為に、お前より幼い頃から家族と引き離されてエクソシストにされたんだよ。

 …雪だってそうだ。

 詳しくは聞いてないから知らねぇが、使徒を造る実験なら知ってる。
 イノセンス適合者になるか、"咎落ち"という死を迎えるまで繰り返される人体実験。
 身内がエクソシストだったが為に、その人体実験を雪は強制させられたんだろう。

 …どうして生き延びたのか、俺は知らない。
 でもあいつの性格がその経緯を物語ってる。

 "世界の為に戦ってる"なんて謳われる俺達は、教団内では周りから尊敬に似た目で見られることが多い。
 だが雪は違う。
 エクソシストに対してなんの興味も持っていない。
 俺に対してもずっと単なるそういう枠でしか見てこなかった。

 その所為で体を好き勝手弄られて散々な扱いを受けたんだ、当たり前と言えば当たり前。
 そんな経験をした根源を敬えって方が無理な話だ。


「オレは…ッオレはここにいたいんだ! 死んでも行くもんか!!!」

「知るか。引き摺ってでも連れて行ムゴッ」

「申し訳ないこいつ口下手で!」


 だからガキのその主張は、全く俺には響かなかった。

 俺達の誰だって当たり前に持ってる主張だ。
 でも誰も耳を貸して貰えなかった主張。

 こいつだけ特別視なんてできるか。
 そう無理にでも連れて行こうとガキの襟首を掴めば、即座にマリの手に口を塞がれ腕を止められた。
 ……おいコラ邪魔すんじゃねぇよ。

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