My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「一つ提案があるのですが…どうでしょう。ティモシー君を我々に預けてはくれませんか」
「それって…」
「ティモシーを黒の教団へってこと?」
「彼の能力は額の玉の影響によるものかもしれません。我々は訳あって"イノセンス"と呼ばれる物質を探していまして…額の玉がそれかどうか、調べさせて頂きたいのです」
こういう交渉はマリが適役だ。
やんわりと言葉を選びながら提案を持ちかける。
だがそれは表向きは提案でも実質"交渉"なんかじゃない。
そのガキの額の玉がイノセンスであれば、強制的にそいつはエクソシストにされる。
…俺の育った黒の教団という組織はそういう世界だった。
「身の安全はお約束します。調べて違うとわかれば、すぐにお返ししますので…」
「ち、ちょっと待って。それって…もしイノセンスだったら、この子をどうするつもり?」
慌てて口を挟んできた女の問いは最もだ。
やはりそこは話すべきことだろう。
表向きに良い言葉だけ選んで取り繕ったって、そのガキの為になんかならない。
「此処には置いとけない」
だから俺がその問いに答えた。
「そのガキは黒の教団で引き取ってエクソシストになってもらう」
リナだってそうだった。
あいつは物心ついた時から黒の教団にいた。
…"いた"んじゃなく"いさせられた"んだ。
兄であるコムイから引き離されて、強制的に教団でエクソシストとしての道を歩まされた。
歳も立場も関係ない。
エクソシストとわかれば、そのガキも同じ道を辿ることになる。
なんせ俺達は"聖戦"をやっているんだ。
世界の為に戦っている。
…その言葉を出せばなんでも許される。
胸糞悪くなる、馬鹿らしい言葉だ。