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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



「ティモシーが人様の体で泥棒を?」

「ええ、はい」


 孤児院の玄関前で怪盗Gの自白をさせた、数分後。俺達はこの孤児院の応接室にいた。
 向かい側のソファーで不思議そうに尋ねてくる、人の良さそうな顔したシスター姿の年配の女。
 "院長"と呼ばれているところ、この孤児院の経営者なんだろう。
 その問いにマリが頷けば、俺とマリ、そして院長とエミリアって女が向かい合わせで座っているソファーの間。


「ちょっと。なんで僕まで縛るんですかっ」

「……」


 其処で地べたに座り込んでいるモヤシが、納得がいかないとばかりの不満声を上げた。
 その背後には、むすっとした顔で黙り込む怪盗Gであるガキの姿。
 そいつらの額と頬には、怪我の手当てをした跡。
 んな大袈裟な絆創膏貼る程のもんでもねぇだろ、六幻で負わせた傷はほんの掠り傷だ。

 そんなモヤシとティモシーと名乗ったガキは、背中合わせの形で一つの縄で胴体を縛られていた。
 というか、縛ったのは俺だ。
 モヤシの体にGが入り込んでいる時に拘束したから、結果モヤシも一緒に拘束せざる終えなかった。

 不可抗力だ、黙ってろ。


「ティモシー君は、他者の体に自身の意識を憑依させて操る能力を持っているようです」

「って無視ですか」

「……あの…?」

「…本気で仰ってるんですか…?」


 モヤシの抗議を無視してマリが話を進めれば、向かいの院長達の顔がぽかんとした間抜け面に変わる。
 …こんな話すぐに信じろって方が無理か。


「まぁ…すぐに信じられる話ではないでしょうが…」

「本人がそう言ってんだ」

「言ってるって…貴方が刃物突き付けて言わせたんでしょ! 黒の教団だかエクソシストだか知らないけど、子供にあんなことして謝罪もないわけ!」

「ガキが素直に言うこと聞いてりゃあんな真似しねぇよ」

「あっ…貴方…ッちょっと美形だからって何しても許されると思っ」

「申し訳ない! こいつ口下手で…! それは本当謝ります!」


 向かいで噛み付いてくるガルマーの娘の言葉を流してると、マリが慌てた様子で口を挟んでくる。

 つか美形ってなんだ。
 その括りで呼ぶなつってんだろ。
 噛み付き方といい、父親そっくりだなこの女。

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