My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
顔をずいと近付け、鴉野郎の眼球を鏡代わりに凝視した結果。
「しまっ…移…ッ!?」
モヤシは血だらけの顔を真っ青に変えて、途切れ途切れの焦り声を上げた。
…決定的だな。
「オ…オレの体は…!?」
「は? 何を言ってるんですかウォーカー」
呆れた顔をする鴉野郎の前で、オロオロと慌てふためくモヤシ。
…いや。
「これか?」
「あー、それそ…」
「また会ったな、怪盗G」
コスプレ怪盗、"G"。
「…っ…!?」
ガキの体を掴んで差し出してやれば、ほっとしたモヤシの顔が硬直する。
無言で固まるその顔からは、ダラダラと血ではなく大量の汗が噴き出した。
充分過ぎる反応だった。
今モヤシの体に入ってんのは、間違いなくあの怪盗G。
そして入り込んだきっかけは…今の顔面同士の衝突だ。
つまりは、このガキが。
「な、何、を…っ」
「…さぁて。白状してもらおうか」
ジャキ、と抜いた六幻の刃を抱えたガキの頬に当てる。
「この体を綺麗なままで返して欲しかったらなぁ」
「ひ…っ!」
口角を上げて笑いかけてやれば、途端にモヤシの顔したGは恐怖で表情筋を引き攣らせた。
そんな顔すんなよ、笑顔で催促してやってるだろ。
「怪盗G?ってちょっと何やってるの貴方、ティモシーに…!」
「へぇ。ティモシーって言うのかお前。オラ早く白状しやがれ」
「な…何言ってんのかわかんな」
ざくっ
「ギャー! やめろぉおお!!!」
少し斬っただけだ別に死にゃしねぇよ。
大袈裟な奴だな。