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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



「あ?」

「ん?」


 少し離れた場所で様子を見ていた俺とマリの声が重なる。
 見えたのは、開いた玄関の中から頭から飛び出してきたガキ。
 そいつを飛ばした原因であろう、後頭部を飛び蹴りしているシスター姿の女が一人。
 そして飛び出してきたガキの額と、玄関先に立っていたモヤシの額がぶつかる姿。

 鈍い打撃音はそこからだった。


「「「……」」」

「はっ…!」


 勢いよく衝突したモヤシとガキの二人は、転げ落ちるように玄関の階段から真っ逆さまに落下。
 一瞬の出来事に思わず黙り込む。
 そんな俺達の沈黙を破ったのは、はっと顔色を変えたシスターの女だった。


「わーっ! いけない私ったら…! またパパ直伝の護身術を…!」

「でたーっエミリアのさつじんキック!」

「かっこいー!」


 …エミリア?

 聞いた名前に、わらわらと小さなガキ共が集まっている女を見る。
 長い金髪の若い女。
 何処かで見たことのある顔だ。

 ………あれは…確か、パリ警察署でガルマーと親子喧嘩していた…娘か?
 ガキと共に煉瓦の地べたに倒れ込んでいるモヤシを見て、顔面蒼白に頭を抱えている。

 ガキは全く動く気配がなかったが、程なくしてモヤシはむくりとその体を起こした。
 モヤシみたいなヒョロッとした奴だが、あれくらいの衝撃で気絶する程ヤワじゃなかったってことか。


「いってぇ…!」

「全く。何してるんですか、君は」


 額を押さえて呻くモヤシに、呆れた鴉野郎が歩み寄る。
 すると、


「ん?」

「え。」


 額を押さえていたモヤシの手が、真っ赤に染まっていた。
 原因はその頭。
 ぶつかった衝撃で切れたんだろう、モヤシの額は見事にすっぱりと横に赤い線を引いていたからだ。

 あっという間にそこから滝のように流れ出す真っ赤な鮮血。

 頭の怪我ってのは傷は小さくとも、出血は多い場所だ。
 前に雪が額を怪我した時も、傷口は小さいものの出血だけは大量で死人顔と化していた。

 ……そういやあの頭の怪我は、結局何が原因だったのか。
 真相を俺は知らない。
 変に奇妙な形の傷跡だった気はする。

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