My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
✣
──数分前
朝日として降り注ぐ太陽光はそれなりに強く、昨夜蓄積していた雪はほとんど溶けて煉瓦の道が顔を見せる。
真冬でも団服だけで充分温かい朝。
これならあの独房内もそれなりな室温になるかと、少しだけ安心した。
…それでも夜になりゃ気温も下がって、あの野郎共の密集した中で雪は暖取りするんだろうが。
G捕獲ができなかった時の為に、念には念をと雪達の釈放の手助けとして、教団本部から人を派遣するよう連絡はしておいたが…早めに来るよう追加伝言しておけばよかったか。
野郎共に囲まれて無防備に寝るであろう、雪の姿は容易に想像できてつい眉間に皺が寄る。
「……オハヨウゴザイマス」
「…んだよ朝から喧嘩売ってんのか」
ただその眉間の皺の理由は、目の前にもあった。
昨夜、結局一晩起きて待機していたが猿泥棒は姿を現さなかった。
雪の言う通り、もう現れる可能性は低い。
仕方なしにまだうつらうつらと眠たそうにしていた雪を置いて、マリ達と合流すれば出迎えたのは仏頂面の白髪モヤシ。
朝からうざったい顔見せてきてんじゃねぇよ。
「それはこっちの台詞です。一方的に通信切って、勝手な行動して。喧嘩売ってるんですか」
「別に迷惑なんてかけちゃいねぇだろ。何処で寝泊りしようが俺の勝手だ」
「それで急なAKUMA襲撃になんて会ったら、どうするんですか。寝泊りする時間は神田の自由時間じゃないんですよ」
「るせぇな。ちゃんとした理由があって行動したんだよ。いちいち文句挟んでくんな斬るぞ」
「はぁっ? じゃあその理由とやらを教えて下さいよ! まさか雪さんといたいからとか──」
「わかったわかった、もうそれくらいでいいだろうっ?」
俺の言葉にカチンときたモヤシが声を荒げれば、間に割り込んできた大柄な体が呆れた声を張り上げた。
それはすっかり俺とモヤシの仲裁係りになっている、マリの姿。