My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
拍子抜けするような、優しくて温かい笑顔。
院長先生のその顔に、咄嗟に言葉は何も出てこなかった。
『私もね、おでこにおっきなホクロがあるのよ。ホラ』
『…へ…へぇ…』
そう笑ってシスターのベールをずらして、本当におっきなオデコのホクロを見せてくれたりして。
あんまりおっきくて、オレの方がドン引きしちゃってたっけ。
そんなオレと院長先生を見て、エミリアもガルマーもいつの間にか喧嘩をやめて笑ってた。
…その時、初めてその場の空気が居心地良く感じた。
今まで一度も周りの大人に対して、そんなもの感じたことなかったのに。
初めて"ここにいたい"って思ったんだ。
…だから、そんなハースト孤児院を救う為にオレは"怪盗G"を作り出した。
他人の体内に頭だけ乗り移って操る。
そんな摩訶不思議な能力は、きっとこの額の玉の所為だ。
偽モンの、オレの宝石。
でもこれはオレの"武器"だ。
これを使えば、勉強なんてしなくたって偉くなれる。
体なんて鍛えなくたって強くなれる。
まだ子供のオレにだって、ハースト孤児院を救えるんだ。