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My important place【D.Gray-man】

第11章 黒の教団壊滅事件Ⅳ



✣ ✣ ✣ ✣

 目を開ける。
 最初に見えたのは、顔を押し付けている白いシーツ。

 久しぶりに、夢を見た。
 魘されて飛び起きていた、あの時の夢とは違う。










 《 大丈夫? また魘(うな)されてたね 》










 飛び起きて冷や汗の掻いた手を凝視すれば、あいつはいつもそう気に掛けてくれた。










 《 ごめん、起こしたか 》

 《 気にすんない 》










 ヘラ、と懐っこそうな独特の笑みを浮かべて。
 そんなあいつの隣で寝るのは、割と心地良かった気がする。


「……はぁ」


 久しぶりに夢を見た。
 魘されていたあの夢とは違う。

 心地良い真っ暗な闇。
 意識の更に下にある、深い深い闇の中。

 久しぶりに、頭はぐっすりと寝落ちていたらしい。
 体を起こして、くしゃりと自分の髪を掴んで頭に手をつく。
 こんな状況下で熟睡しちまうなんて。

 エクソシストなんてもんになったから、常に命を張ることは多い。
 だから寝ていても些細な物音がすれば自然と目が覚める。そんな習慣が身に付いていた。
 なのになんで、こんなにぐっすり寝ちまったのか。


「……月城?」


 頭に手を付いたまま、唐突に思い出した。
 はっと顔を上げて薄暗い部屋を見渡せば、その姿は何処にもない。


「あいつ…ッ」


 部屋にあったもんで壁を作ったドアは、変わらず堅められたままだ。
 それでも少しだけ棚をずらして作られたスペースは、あいつが出ていく際にできたものなのか。

 なに勝手に出て行ってんだ、あいつ…!

 舌打ち混じりにベッドから降りようとして、体の異変に気付く。
 飛び下りなくても床につく足。
 見慣れた高さに戻っている目線。


「! 体が…」


 元に戻ったのか。

 そんな喜びも束の間、耳に届いたのは布か何かが擦れるような微かな音だった。
 微かだが、人為的な音。


『ハァアァ…』


 部屋の外。割と近くに聞こえるそれは呻き声。
 十中八九、ゾンビ化した誰かだ。

 窓の外を見る。
 未だに衰えてない雨は窓ガラスを叩き付けていて、薄らとだけ明るい外はどうやら朝を迎えていた。
 それでもどうやらゾンビに眠りは来ないらしい。

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