My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
親父の手からは解放された。
でもその時既にオレの体は…以前のオレの体じゃなくなっていた。
飲み込んだ宝石は警察署の医者の調べでは消えてしまっていて、オレの体のどこにも残っていなかった。
宝石は消えたけど、体の痛みも治まったけど。
代わりにオレの体に起こった異変。
それがこの額にできた変な玉だった。
内部から生えてるみたいに、しっかりオレの体に張り付いている変なエメラルドグリーンの玉。
医者の話では今の技術じゃ切除できないだとか、なんとか。
そんな変ちくりんな体になってしまったオレを置いて、刑が決まった親父は刑務所にぶち込まれた。
預かり手のないオレはガルマーの提案で、こうしてここのハースト孤児院に引き取られることになったんだ。
『今日から此処がお前の家になるんだ、ティモシー』
何が家だよ、勝手に決めんな。
親父の身勝手で変な体にされて、他の大人の身勝手で孤児院なんかに入れられて。
オレの人生滅茶苦茶だ。
優しく接してくるガルマーも、まるでオレを哀れな子供みたいに扱ってくるから。
それにもなんだかむしゃくしゃした。
『それで…この額のことですが…』
『ええ…奇妙な話ですが、医者に見せたところ切除は無理のようで…一生この姿のままだろうと』
『まぁ…』
院長先生とガルマーの話を耳にしながら、オレはずっと仏頂面で孤児院の椅子に座っていた。
一生オレはこの姿のままなのか。
はっきりと告げられた言葉がショックで、同時になんだかむかついて。
『だっから! うちで引き取ればいいじゃない! パパの人でなし!』
『うちは家庭的に問題があるだろうが!』
『ママが出てったのはパパの所為でしょ!』
『なっ何を~…!』
責任を押し付けるように孤児院に入れられてるつもりだったから、そんなオレを引き取ろうとしてくれたエミリアは…嬉しかった、けど。
それでもオレの怒りは治まらなかった。
大人は皆、勝手だ。