My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
14番目の所為で転生へのタイムラグが生じ、覚醒こそノアの中で出遅れてしまったが、この第5使徒"魔眼"のワイズリー。
ワタシの額の三つ眼を持ってすれば、転生前の記憶も保持し続けることができる。
そして人の記憶を操ることも。
『──ね、ワイズリー。お願いできる?』
『ののぅ…なんともロードの考えそうなことだのう。相変わらず、人の心の弱い箇所を突くのが得意だ』
『それワイズリーが言う?…それにこれは雪の為なの。後で痛い思いをするのはわかってるんだから、今のうちに慣れさせてあげなくちゃ』
『慣れと言って、結局その痛みで殺してしまっては元も子もないじゃろうて』
『だからそこはワイズリーが加減しなきゃ。あのコの心を壊さない程度に、やさぁしくね』
幼女の姿を成しておるのに、大人の女のように艶やかな笑みを称えていた我らが長子を思い返す。
どんなに見た目が幼かろうが愛らしかろうが、やはりロードはロードだわい。
他人の精神につけ込むやり口は、いつも容赦がない。
…ワタシも他人のことを言えた口ではないが。
『いーい? 絶対に雪の心を壊しちゃダメだよ。あのコは大事な家族なんだから。卵みたいにぱんって頭破いちゃったりなんかもダメ。気を付けてよぉ』
『わかっておるわい。なんじゃ、人を電子レンジか何かみたいに』
『だってワイズリー大雑把なんだもん。寧ろ石焼き竈並みだよ』
『……』
……じゃからって竈はないじゃろ、竈は…。