My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
黒の教団の者であるが故に、些かややこしい心で生まれてしまった我らが同胞。
第8使徒"怒"のノア〝ラースラ〟
ラースラであったスキン・ボリックが死して然程なく、そのメモリーは新しい肉体に転生したらしいが…"覚醒"までには時間を長く有している。
理由は二つ。
ノアの怒りである、我らの中で最も憎悪のように強いそのメモリーと──雪の心。
"怒"のメモリーは本人にも、また我ら他のノアに対しても強い影響力を持っている。
それ故に人間がそのメモリーを受け入れるには、身体的にも精神的にも適応の為の時間がかかる。
それでも尚、覚醒の際に本人に与えられる苦痛は大きい。
"痛み"は"怒り"だ。
それを心身共に叩き込まれて、憤怒のノアは生まれる。
そして何よりも覚醒の妨げになっているのは、雪自身の心。
教団で雪が見つけてしまった、心の在り所。
それが雪の枷となりノアになることを阻んでいる。
しかしまさか…それがあの男だったとは。
「…皮肉よのう」
スキン・ボリックを死へと追いやったエクソシスト──神田ユウ。
ラースラの肉体を破壊したその者が、今度は新たなラースラの心を捉えている。
なんとも皮肉なことか。